エッセイ

 サボる自由、怠ける権利。

かつて、高校で講師をしていた。若い男性教員の多くがそうであるように、私もまた、「力仕事」の集中する生徒指導部に配属され、生徒の人たちの外面的/内面的な規律監督にあたらされた。例えばそれは、朝には昇降口付近に立っての「遅刻指導」であったし、…

 読書会ノススメ

最近、「読書会」というものにはまっている。「読書会」とは何か、ご存知だろうか。さまざまなやりかたや形式はあると思うが、大雑把にまとめるとそれは、共通の文献(テクスト)を複数の参加者でともに読み合わせしていく、というものである。大学のゼミを…

 いつまでも、学生気分じゃいられない?

先日、久しぶりに母校の大学図書館を訪れた。研究室に恩師を訪ねた帰り道。卒業して以来、たとえ大学に寄ることがあったとしても、久しく足を踏み入れることのなかった場所だ。大学図書館は学外の一般利用者にも開放されているため、利用できなかったわけで…

 落下する目玉

30余年というそんなに長くもない人生のなかでも、それまでの自分のものの考えかたや価値観の前提を突き崩されるような、衝撃的な言葉と時おり遭遇することがある。それはまさに「目から鱗」、というか「目玉そのものが転げ落ちる」とでもいうべき体験だ。 …

 「非国民」のための人生相談

Q. 最近の言葉の乱れには、とても憤りを感じます。とくにひどいのは、敬語の乱れ。敬語は日本語にしかない、素晴らしい文化です。なのに、それを正しく使えない日本人が増えているのは嘆かわしいことです。こうした言葉の乱れとともに、最近の若者たちの間…

 「わかりやすさ」のコスト

前回は、「わかりやすさ」というものが、語り手と聞き手の間で成立するための条件について述べた。要約するとそれは、語り手の側での「特定の聞き手を想定した語りかた」ということであった。多様な文脈、多彩な個性を含む「みんな」に同じように何かを伝達…

 「わかりやすさ」から遠く離れて

あちこちで文章を書いたり、話をしていたりすると、よく次のように言われる。すなわち「あなたの話は難しい。もっとわかりやすく説明してくれ」というもの。仲間内でしか通じない専門用語(ジャーゴン)や読み手の存在をまるで想定できていない自慰行為のよ…

 《フリーター》の誕生?

最近フリーターが増加していると言われる。その数はおよそ200万人以上にものぼるという。この「フリーター増加」を「社会問題」と捉え、「問題」の「解決」を志向する言説/実践が各所で頻繁に見られるようになってきた。「問題」とされるものの原因が、…