センター現代社会(5)地球環境問題

■国連人間環境会議(1972): スウェーデンストックホルムにて「かけがえのない地球」をスローガンに開催、人間環境宣言(経済成長から環境保護へ)を採択。「開発よりも環境保護を優先せよ!」を主張する先進工業国と、「貧困と低開発ゆえの環境問題、よって開発を優先せよ!」と主張する発展途上国との対立構図(南北問題)が浮き彫りになる。
■国連環境開発会議(1992): 通称「地球サミット」。ブラジルのリオデジャネイロにて「持続可能な開発」をスローガンに開催、アジェンダ21環境保護のための具体的な行動計画)を採択。加えて、生物多様性条約や気候変動枠組条約地球温暖化防止条約)を提起。「環境」優先の先進国と「開発」優先の途上国との利害対立(南北問題)を解決するための落とし所として採用されたのが「持続可能な開発(開発そのものが問題なのではなく、将来世代から環境開発の権利を奪うような開発が問題。よって、将来世代に開発可能な環境を残せるような節度ある開発が必要)」という考えかた。
■主な環境問題と対策: 生物多様性保護=ラムサール条約(湿地保全、1971)、ワシントン条約絶滅危惧種保護、1973)/酸性雨(原因は硫黄酸化物・窒素酸化物)対策=長距離越境大気汚染条約(1979)/オゾン層破壊(原因はフロン、南極で深刻化)対策=モントリオール議定書(1987)/森林破壊(原因は過度の森林伐採アマゾン川流域などで深刻化)対策=砂漠化防止条約(1994)。
京都議定書(1997): 気候変動枠組条約(1992)に基づいて開かれた温暖化防止京都会議(1997)にて採択、温室効果ガス削減の数値目標を設定。数値目標を達成しやすくするために採用されているのが、京都メカニズム(国際排出量取引・共同実施・クリーン開発メカニズム)。国際排出量取引とは、目標削減量に達しない先進国が目標以上の削減量を達成した先進国から「余った分の削減量」をお金で買えるというルール。共同実施(JI)とは、目標削減量に達しない先進国が他の先進国とともに削減プロジェクトを共同実施しそこで得られた削減量を自国の削減量にカウントできるというルール。クリーン開発メカニズム(CDM)とは、目標削減量に達しない先進国が他の途上国とともに削減プロジェクトを共同実施しそこで得られた削減量を自国の削減量にカウントできるというルール。京都議定書をめぐっては、先進国と途上国の間に激しい意見対立があり、排出量1位のアメリカ合衆国と2位の中華人民共和国が不参加を表明、そうした中で2005年2月に発効した。