高校受験社会・公民(2)基本的人権と日本国憲法 その2

基本的人権のなかみ: 日本国憲法における基本的人権の中心にあるのが、自由権(国家から制約されない権利)と社会権(貧困にならない権利)。加えて、これらを国民すべてが享受できる平等権(差別されない権利)がある。また、これらの人権は、市民革命のときに市民(国民)が政府(国家)に守ることを約束させたものだが、政府(国家)は隙を見てこれを反故にしようとする。よって、そうさせないよう、人権を守るための権利(基本的人権そのものを奪わせない権利)も、基本的人権の中に含まれることになる。
自由権とは何か: 市民革命によって獲得された、国家権力から制約されない権利。国家からの自由。身体の自由(どこにいてもいい自由)、精神の自由(何を考えてもいい自由)、経済活動の自由(どんな仕事をしてもいい自由)。
社会権の成立背景: 市民革命による自由権(とりわけ経済活動の自由)保障が工業化を促進、その結果資本主義(お金儲けゲーム)が発展して競争が激化すると、市民たちの間で貧富の格差が拡大し、貧困(人間らしい生活ができない経済状態)に陥る人びとが現れ始める。こうした問題(社会問題)に対処すべく、社会権(貧困から脱する権利)が新たにつくられる。第一次世界大戦後、ドイツのワイマール憲法において初めて明記される。
社会権とは何か: 資本主義発展の結果求められるようになった、国家権力に貧困からの救済を求める権利。国家への自由。生存権(25条、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利。これを保障するため社会保障制度がつくられる)、教育を受ける権利(学歴社会においては教育を受けることが階層上昇へのチャンスとなる)、労働三権団結権労働組合をつくる権利/団体交渉権/団体行動権争議権)など。
■平等権とは何か: どんな人であっても差別されない権利。差別を受けている人びと(被差別部落アイヌ、障害者、女性など)へのさまざまな対策――まだまだ不十分ではあるが――の根拠となる権利。
■人権を守るための権利とは何か: 国家権力による収奪から、基本的人権を市民側に確保し続けるための権利。参政権(選挙権・被選挙権、最高裁判所裁判官国民審査権、憲法改正国民投票権。国家権力や政府に人権侵害をやめさせたければ、その者を選挙で落選させるか人権侵害をしない者を当選させるかすればよいため)、請願権、裁判を受ける権利など。
■新しい人権と何か: 日本国憲法がつくられた当時にはまだ想定されていなかったが、戦後の社会の変化(高度経済成長、情報化社会)により新たに求められるようになった人権。環境権(人間らしい生活ができる環境を求める権利。高度経済成長のときの過剰開発への反省からつくられる)、知る権利(政府がもつ情報の公開を求める権利。情報化社会=情報が価値をもつ社会の発展により求められるようになる)、プライバシーの権利(個人情報を他人に勝手に知られない権利。IT化が進むにつれて必要性が増す)、自己決定権(自分の生きかたや死にかたについて自分で決める権利。医療技術に発達により求められるようになる)など。