自由! 平等! 財産! ベンサム!
ようやく今ごろになって、『資本論』4章を読了。いやあ、いよいよ商品交換の外部、生産過程に突入ですね。ところで、流通過程が「天賦人権の真の花園」とか「事物の予定調和の力」とか「万事を心得た神の摂理」とか、神学的な語彙やレトリックで語られているのが、個人的には非常に興味深い。そこには、古典派経済学を「世俗神学」と認識し、批判する視線がある。『資本論』の副題「経済学批判」を想起してみてほしい――「経済学批判」とは、すなわち「経済学(を装った神学)批判」ではないか。とはいえ、マルクスの史的唯物論自体もまた「世俗神学」にすぎないことは自明で、となれば論争の賭金になっていたのは、近代の「大きな物語」の要件ともいえる「客観性」や「価値中立性」だということになる。それこそが、神学信仰/客観科学を分かつものだから。
- 作者: マルクス,エンゲルス,向坂逸郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1969/01/16
- メディア: 文庫
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