『誰も知らない』


今日は、仕事の空き時間に映画を観てきた。是枝裕和監督の『誰も知らない』。大好きな監督の作品だし、いろんなところで話題になっていたので、楽しみにして観にいったのだが、その内容の重たさ、八方ふさがりっぷりに気付いたら涙がこぼれてました。挿入歌「宝石」が良すぎた。

誰も知らない [DVD]

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そら

そら

「ひきこもり」を可能にする社会的条件として、成人後の子ども(具体的に言うと、団塊ジュニア世代)を養い続けられるだけの経済的余裕が親世代(具体的に言うと、団塊世代)になければならない。終身雇用と年功賃金のシステムがぎりぎり機能しえた団塊世代が親であったからこそ、問題は「ひきこもり」という形態で現象したといえる。これが、今後は、成人後の子どもを家族内で無条件に養い得るだけの経済的余裕を親世代(具体的に言うと、新人類世代)はもち得ないため、家族の内部に依存的メンバーを抱え込むことが不可能になり、そうなれば当然、家族の外部に彼らを放り出すか、あるいはその存在を抹消するかしかなくなる。かくして、今後の(あるいは現在進行形の)若年/家族問題としては「若年ホームレス」と「児童虐待」が前景化する。『誰も知らない』は、そうした状況を描いた作品だと思う。