「ぷらほ」の文脈創出型マネジメント

■前回、自分たちの内に眠るさまざまな資源を掘り起こし、ポテンシャルを開花させていくことが、今後の「ぷらほ」が取り組むべき喫緊の課題であると記した。その一環として、現在、「ぷらほ」の主要メンバーに対するインタビュー調査を実施し、私たち自身の間にすでに存在する価値や資源を把握する取り組みを進めている。新人スタッフに研修課題として取り組んでもらっているものだが、その過程で面白い発見があった。今回はその気づきについて書く。
■研修ではまず、これまで「ぷらほ」が編集・発行したテクストすべてに目を通してもらい、そこから読み取れる「ぷらほ」の強み/弱みを分析してもらった(その際に改めて気づいたことだが、私たちはこの7年間で合計13点の出版物を発行していた。ちょっとびっくり)。そうした分析を経た上で、今度は、「ぷらほ」を構成する人びとに対して、直接的なインタビュー調査を実施してもらった。現在、調査結果を分析・検討してもらっている最中である。
■調査は、私たちスタッフに対しても行われた。インタビューを通じて、私は、「ぷらほ」が半ば無意識に採用してきた組織マネジメントの「型」の存在に気づくこととなった。それは、地域の中に存在するさまざまな社会的文脈をひとつずつ取り出し、それがもつ魅力と交わり、理解していくとともに、その文脈の中に「ぷらほ」を位置づけていくというやりかたである。居場所としての「ぷらほ」、上映団体としての「ぷらほ」、地域活動としての「ぷらほ」などがそうだ。
■多様な文脈の中で活動を語ることの効用とは何か。第一に、「語り口の多様さ」を達成できる点。これがあれば、生きづらさを抱える若年に対しても、映画好きの若年に対しても、地域づくりに興味のある若年に対しても、同時にアプローチが可能である。第二に、従来存在しなかった「新たな文脈」の発見あるいは創出を達成できる点。これがあれば、どんなに意外な相手とでも共通項を見つけ出し、コラボレーションや協働を行っていくことが可能となる。
■組織マネジメントという観点からより重視したいのは後者である。思えば私たちは、「不登校・ひきこもり支援」という文脈に始まり、「若者オルタナティヴ」「戦争」「映画」「居場所」「ヤマガタ」「NPO・市民活動」「若者の地域活動」「若者UJIターン」「キャラ化」など、「新たな文脈」を地域の中で絶えず発掘・構築し続けてきた。このベクトルは今後も変わらず続くだろう。多様な文脈が交差しあう結節空間としての「ぷらほ」。さて、次の文脈はなんだろう。*1

*1:『ぷらっとほーむ通信』086号(2010年6月)