若年の居場所

 社会学への自由、社会学からの自由。

■とある区切りにさしかかりつつあり、それは「ぷらほ」のこれからとも無関係とはいえないことであるため、私事ではあるが、それについて書いてみたい。思えばこの10年余、自分はずっと社会学というものに縛られ続けてきたように思う。最初の出会いは、1999〜…

 公共空間の挿入法――「図書館講座」と「ぷらほ」

■私事になるが、この3か月ほど集中的に取り組んできた修士論文の執筆がようやく終わった。共同代表の松井さんをはじめ、メンバーのみなさんには、「ぷらほ」の仕事を肩代わりしてもらい、論文に集中できる環境を整えてもらうなど、さまざまな側面支援をいた…

 市民教育実践としての「ぷらほ」?

■現在、来月中旬の締め切りに向けて修士論文の執筆に追われている。当初、「ぷらほ」の支援実践を事例としたアクション・リサーチを構想していたが、思うところがあって路線を転換。今年の春から秋にかけてフィールドワークを行った山形北高学校図書館の教育…

 「若者支援」のその先へ。

■近ごろなぜか、自分たちの活動を顕彰される機会に恵まれている。先月は「山形県」より「輝けやまがた若者大賞」(若者地域活動に対して与えられる賞)をいただき、今月は「財団法人山新放送愛の事業団」より「愛の鳩賞」(地域福祉活動に対して与えられる賞…

 ネオリベくん、気をつけて!

■現在ぷらほでは、山形県市町村課からの委託事業「若者の移住受入体制支援事業」として、UJIターンの若者たちが気軽に集えるコミュニティづくりに、そしてまた山形市コミュニティファンドからの助成事業「非正規雇用の若者たちの居場所/学びの場づくり事…

 ミニコミを通じた居場所づくり

■現在、わたしたちは、山形県市町村課の委託事業「若者の移住受入体制支援事業」をはじめ、フォーラム山形との共催事業「シネマカルチャーサロン」、山形市コミュニティファンド市民活動支援補助金(公開プレゼンテーション)助成事業「非正規雇用の若者たち…

 「敷居の低い「社会」」としての居場所

■改めて確認しておきたいのだが、私たち「ぷらほ」のミッションは、孤立する若者たちが「社会」へとつながり、力をつけていけるような居場所/学びの場づくりである。「社会」とは、多様性と複数性を特徴とし、さまざまな背景や文化を背負った人びとがともに…

 支援者の条件

■前回、「学び」というスタンスが私たちの活動に何を与えてくれたかについて書いた。「現在、○○について学んでいます!」というスタンスは、その中での試行錯誤を可能にしてくれる。社会は、学びの途上にある者たちに対してはモラトリアム(執行猶予)を認め…

 「学び」がぷらほにくれたもの。

■それまで「居場所」づくりに集中してきた活動に「学びの場」づくりという新しい柱を加えるようになって3年ほどがたつ。意味のある「居場所」とは常に何らかの「学び」の契機を備えているものだし、意味のある「学びの場」というのも参加する人びとに何らか…

 おまえが「ひきこもり」だ。

■ずいぶん理解が及んではきているのだが、現在でもなお「ぷらほ」に集う人びとのことを、「不登校/ひきこもり/ニート」といった弱者カテゴリーに直結させてイメージし、そうした前提でわたしたちのことを評する人たちに遭遇することがある。そこにあるのは…

 私たちができる/すべき支援。

■震災後の混乱と年度末/初めの繁忙とをくぐり抜け、ようやく最近、一息ついて周囲を見渡せるようになってきた。被災者の人びとの窮状や彼(女)らへの支援活動に奔走するNPO・市民活動の仲間たちの姿を横目に見ながらも、自分たちの活動の足場ともいえる…

 与えられる前に与える、ということ。

■八年前のちょうど今ごろ、私たちは「ぷらっとほーむ」を立ち上げ、フリースペース開所に向けた準備に追われていた。当時は、若者支援と言えばイコール「不登校・ひきこもり支援」というのが常識で、「不登校」「ひきこもり」などのカテゴリーを用いず、「そ…

 雪かき論

■ようやく春めいてきたが、今年の冬は例年になく積雪が多かった。雪が積もれば、当然ながら「雪かき」の仕事が待っている。それは、プラスの価値を生むものではなく、ただマイナスをゼロ地点まで戻すだけの仕事であるため、とりたてて評価されるような何かで…

 あれから10年も、この先10年も。

■10年前、わたしは県立高校で講師をしていた。勤務先は母校だったが、10年ぶりのその空間がなぜか当時の自分には違和感だらけ、しかもそのもやもやを口にできる相手もうまくつくれず、悶々としていたころだった。偶然目にした新聞記事に「山形で初のフリ…

 異文化理解としてのコスプレ

■去る12月25日、カフェ・フォーラムにて、「ぷらほ」主催の「クリスマスコスプレパーティ」を初開催した。会場には、クリスマスにちなんだ衣装やアニメ/ゲーム/マンガ/映画のキャラクターの衣装、職業に関連する制服などを身にまとった色とりどりの老…

 「思考の空間」としてのゼミ

■現在、メンバーたちと進めている学びの場づくりのひとつにゼミがある。ゼミとは、大学の演習などで採用されている学びの形式で、レポート担当者が事前に準備してきたレジュメ報告などをたたき台に、参加者全員で議論しながら論点を深めつつ学んでいくという…

 「シネマカルチャーサロン」という実験

■年度初めより、市民派の映画館「フォーラム山形」と共催で、月1回のペースで実施してきた企画「シネマカルチャーサロン」が、今月で6回目を迎える。多様な背景をもつ人びとが集い、お茶を飲みながら、特定の映画作品をテーマに語り合うことを通じて、社会…

 若年支援のゴールはどこにあるか

■前回に触れた「日本教育社会学会:第62回大会」のテーマ分科会「若者支援の現状と課題」(9月18日9:20−11:50)で、「「居場所」はどのように達成されているか:民間フリースペースにおけるスタッフの環境統制ワークに着目して」と題した研究…

 「不登校/ひきこもり」って言うな!

■半ば私事になるが、今月の18日、関西大学で開かれる「日本教育社会学会:第62回大会」のテーマ分科会「若者支援の現状と課題」で研究報告をすることに決まった。若者の現在をテーマに精力的に研究・執筆活動を展開する本田由紀さん(東京大学)の提案に…

 「助成制度とのつきあいかた」の現在形

■前号でも触れたことだが、山形県のNPO支援ファンド「やまがた社会貢献基金」の2010年度協働助成事業(テーマ希望型:うまい!を明日へ!「山形の宝」継承活動支援事業)に企画提案した「「ヤマガタ文学遺産」ガイドブック作成」事業が、プレゼンテー…

 縁側空間の誕生

■前回、「ぷらほ」の組織運営の特徴として、地域内に存在するさまざまな文化圏や文脈の発掘・構築により、取り組みの外延を次つぎに拡大し、多様さを増大させていく点に触れた。これはつまり、「ぷらほ」というミッションに基づく共同体のウチ/ソトの境界線…

 「ぷらほ」の文脈創出型マネジメント

■前回、自分たちの内に眠るさまざまな資源を掘り起こし、ポテンシャルを開花させていくことが、今後の「ぷらほ」が取り組むべき喫緊の課題であると記した。その一環として、現在、「ぷらほ」の主要メンバーに対するインタビュー調査を実施し、私たち自身の間…

 マルチリンガルな活動体を目指して。

■おかげさまで創設7周年を迎えることができた「ぷらほ」。毎年5月を迎えるたびに、「ずいぶん遠いところまで来たものだ」とそれなりの感慨を覚えるものだが、今回は例年以上だった。「ぷらほ」の運営に関して、これまでの7年間には存在しなかったようなと…

 「ぷらほ」発・自治のつくりかた

■前回、「「ぷらほ」をなくしたくない、そのために何か手助けしたいというみなさんに協力してほしいことがある」として、幾つかのお願いをした。それに応え、久しぶりにフリースペースを訪れてくれたメンバーの人たちや「直接訪問はできないけど」と通常より…

 「ぷらほ」、もう解散?

■年度末が近づき、今年度の事業の決算や総括の作業に徐々に入りつつある。そんな中、「ぷらほ」の財政状況が非常に危機的な状態にあるという事実が発覚した。初年度以来、いざというときに備えて確保し続けてきた予備費がほとんど底をついていたという事実で…

 わたしが無茶振りする理由。

■2月になり年度末が近づいてくる中で、行政からの助成事業、委託事業などがいよいよ大詰めを迎えつつある。具体的に現在取り組んでいるのは、「若者向け山形の著作者紹介ガイドブック作成・発行」事業(「山形市コミュニティファンド」による助成)、「若年…

 「好きを仕事に」ができるまで。

■今年9月にスタートした「キャラクター化ビジネス・プロジェクト」。それぞれの現場で有意義な取り組みを行ってはいるが広報力に欠ける草の根の仕事人や活動家の人びとのニーズを、ビジネス手法で解決しようというのがその趣旨であり、このため、まずは、依…

 「腐女子 × NPO」をプロデュース

■「腐女子」とは、マンガやアニメなどに登場するキャラクターの男性どうし、あるいは実在する芸能人やタレントの男性どうしが「もしも恋愛/性愛関係にあったら」と妄想して楽しむ女性たちのことを指す言葉。その妄想を「二次創作」という形で作品化し――「ボ…

 「ぷらほ」の学びの方法論 その3

■「ぷらほ」の学びに固有の方法とは何であるか。前々回から前回にかけて、第一に留意すべきは、学ぼうとするその人たちの自由な語りを保障すること、それが達成できたとき、次に気をつけるべきは、彼らに自らの「不足」や「狭さ」に直面してもらうことだ、と…

 「ぷらほ」の学びの方法論 その2

■「ぷらほ」の学びに固有の方法とは何であるか。前回はそれを、自由な語りの保障、ということのうちに見た。メディアによる刷り込みや教育を通じた想像力の去勢、同質的集団の内部で作用する同調圧力などにより、私たちはふだん、自らのうちに芽生えた違和感…