「腐女子 × NPO」をプロデュース

■「腐女子」とは、マンガやアニメなどに登場するキャラクターの男性どうし、あるいは実在する芸能人やタレントの男性どうしが「もしも恋愛/性愛関係にあったら」と妄想して楽しむ女性たちのことを指す言葉。その妄想を「二次創作」という形で作品化し――「ボーイズラブ(BL)」「やおい」などと呼ばれる――互いに披露しあったり売買しあったり、というのが、彼女たちのコミュニティに特有の行為様式である。
■集団の中で何らかのキャラであることを求められる現代日本の若い世代にあって、「腐女子」もそうしたキャラのひとつである。もちろん「ぷらほ」のメンバーの中にも、そうした「腐女子」キャラやその文化圏を生きる人びとが存在する。妄想の作品化に日常的に取り組んでいるとあって、イラストやマンガ作品の制作にかける彼女たちの意欲は非常に高い。できればそれを仕事にしたいとも語る。しかし、同人誌づくり以外でそうした場を見つけるのは困難なのが現状だ。
■一方で、やや唐突ではあるが、私たち「ぷらっとほーむ」もその一つである、NPO・市民活動の現場に目を転じてみる。協働の取り組みであったり取材であったり、その時どきで目的はさまざまだが、草の根の社会貢献活動に取り組むさまざまな活動や団体と知り合うようになり、現場の実態が次第に見えてきた。そこでは、共通する課題は「新規メンバーが集まらない」「後継者が見つからない」などに集中する。要は、NPOの広報力が決定的に不足しているのだ。
■この、一見全く無関連な二つのニーズ――イラストやマンガが得意だが、それを活かす場が地域に存在しないという「腐女子」たちのニーズと、よくよく聞いてみるとユニークで有意義な活動をしているのだが、それを言語化し情報発信する力(広報力)がないため、なかなか地域に拡げていくことができていないというNPO・市民活動団体のニーズ――には、共通項が存在する。貴重な地域資源が休眠状態のまま放置されている、という共通項だ。何とかできないか。
■そこで取り組んできたのが、NPOである「ぷらほ」の広報に彼女たちのイラストやマンガを活用するというカップリングだ。彼女らには仕事の場を、「ぷらほ」には広報力をそれぞれ補い合うことができる。この発想の延長線上で、現在新しいプロジェクトを進行中だ。その名は「キャラ化名刺プロジェクト」。依頼者をキャラ化したイラストをあしらった名刺の作成を代行するというサービス提供の事業である。興味あるかたは、ぜひご連絡ください。*1

*1:『ぷらっとほーむ通信』080号(2009年12月)