「戦争ワークショップ」のすべて

■開催が目前に迫る戦争ドキュメンタリー『ひめゆり』『ミリキタニの猫』合同上映会(6月13日−19日)。市民団体が合同で企画し、しかもそれを、市民活動を出発点に誕生した山形市香澄町の映画館「山形フォーラム」を舞台に実施するという、草の根の市民発という点がユニークだ。加えて、今年は山形市で「山形国際ドキュメンタリー映画祭」が開催される年。普段はなかなかに縁遠いドキュメンタリー映画に市民が触れるきっかけや場をつくるという意味もある。
■さまざまな意味を含みもつ今回の上映会。私たち「ぷらほ」の文脈からすれば、若い世代の主観からどんどん切り離されていく傾向にある「戦争と平和」というテーマについて、改めて考えたり学んだりする機会を、若い世代自身の手で地域の文化空間の中に挿入するのがねらいだ。同じねらいから、昨年度と同様、上映会と抱き合わせで「戦争と平和」について前提ゼロから学べる事前学習講座「戦争ワークショップ」を、「嗚呼ミリキタニ団」と共同で開催している。
■この「戦争ワークショップ」は全5回、5月14日から6月11日までの毎週木曜19時から21時半まで、山形市霞城公民館で開催予定であり、現時点では第3回までが終了した。今のところ、毎回平均して15人程度が参加。今回の上映企画団体である「ぷらほ」と「嗚呼ミリキタニ団」からはもちろん、それ以外にも、若い世代の労働組合「山形青年ユニオン」や教職員の労働組合山形県教組」などからも参加者が集まっている。では、その内容はどのようなものか。
■第1回目では、戦争に関する知識や認識や関心の前提がばらばらな私たちが、互いの前提のありかを知り、その一端を共有するためのワークを実施。そこで見えた各自の関心項目から、次回以降の講座テーマを決定した。すなわち、(1)「あの戦争」の当事者と目的、原因は何だったか、(2)なぜ「あの戦争」では国民全てが戦争動員されたのか、(3)現在の「戦争」をどう見ればよいか、(4)「戦争について学ぶ/知る」とは、そもそもどういうことか、である。
歴史学が専門ということもあり、筆者が講師を務めているが、この講座の目的は、戦争に関するトリヴィアルな知識を増やすことでも、それを周囲に披露することでもないし、講師の話を一方的に鵜呑みにすることでもない。もちろん筆者の話は、研究や言論の動向を最低限踏まえたものだが、それはあくまで私たち若年市民が戦争や社会について考え始めるための叩き台、ネタふりの話題提供にすぎない。自分の頭で考え始めたいあなた、ぜひ参加してほしい。*1

*1:『ぷらっとほーむ通信』074号(2009年6月)