『ソーシャルワークの社会的構築』

ソーシャルワークの社会的構築 (明石ライブラリー)

ソーシャルワークの社会的構築 (明石ライブラリー)

■読了文献。74冊目。レスリー・マーゴリン『ソーシャルワークの社会的構築:優しさの名のもとに』。ソーシャルワークが歴史的に行ってきたことは、(1)「クライアント」を――そして同時に彼(女)らに正当な「援助」を行う「ソーシャルワーカー」を――社会的に創出すること、(2)そうした構築のワークをクライアントのみならず、ソーシャルワーカー自身からも隠蔽し、そのプロセスを見えなくさせること、の2つである。さらに、ソーシャルワーカーの人びとの燃え尽き(バーンアウト)は、(2)の自己欺瞞によってワーカー自身が苦しめられるという点に起因するのだとのこと。面白い。本書における制度的専門職であるソーシャルワーカーについての分析は、制度的でも専門職でもない居場所スタッフ/利用者の関係性についても、基本的にはそのまま該当する。居場所スタッフもまた人びとを「不登校」「ひきこもり」「ニート」等として構成し、彼(女)らに対する「支援」とともに、それを提供する「支援者」を構成するワークに従事している。この「支援」構築のワークには、その忘却のワークが伴い、居場所スタッフの人びと自身の意識においては「支援ではないもの」として構成されている。などなど。