『空と海』

空と海

空と海

■読了文献。39冊目。A.コルバン『空と海』。久しぶりのヨーロッパ史アナール学派第4世代、「感性の歴史学」を唱導する著者のテクストを読むのはこれが初めて。18−19世紀にかけて生じた天候や浜辺への関心の高まり。人びとは、それまで嫌悪の対象に過ぎなかった「空・海・山・森」などの空間を、新たな想像力のまなざしで見つめ始める。「風景」の誕生。このまなざしを、著者は「気象的自我」と呼び、そうしたものの生成を「時間の世俗化」というお馴染みの文脈に結びつける。「海水浴」の起源についての基礎知識を得るために読んだのだが、概要が知れたのでとりあえずはよい。18世紀末に、快楽主義的な海水浴と治療目的の2つの「海水浴」が誕生し、競合していたそうな。さらに詳しくは、『浜辺の誕生』と読め、とのことらしい。とはいえ、『浜辺』は厚すぎます。