『ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか』

ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代

ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代

■読了本。25冊目。武井麻子『ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか:感情労働の時代』。感情労働論入門。感情労働(emotional labour)とは「顧客をある特定の感情状態にするために、声のトーンや表情、態度を調整することによって自分の感情を管理する仕事」のこと。それが、誰もが仕事をする場面で日常的に行っている感情管理の作業(感情ワーク)と異なるのは、①自分の感情を管理することによって相手の感情に働きかけることが重要な職務となっている点、②そのようにして生産される感情に商品価値がある点においてである。その意味で、顧客と応対する接客業や対人サービス業はほとんどが感情労働に該当する。居場所スタッフも然り。感情労働者の暴力被害率が高いという指摘が興味深い。「自分の正しさに疑いを持たない人びとによる正当性を伴う暴力こそがもっとも恐ろしい」ということの例証のようなお話。「正しい人たち」は嫌いだ。