「ボランティアする側」と「される側」:若年支援NPOから見た「ボランティア」

■ボランティア活動の対象領域として、近年新たに浮上してきたのが「不登校・ひきこもり・ニート」など若年支援の分野である。そこでは特に、同世代ならではの利点を活かそうと、支援される側の若年と同世代の「若者ボランティア」を推奨する動きがある。その結果、「支援する側」の若年たちと「支援される側」の若年たちとが、「ボランティア」というものを媒介にして社会的に出会うことになる。この「同世代による同世代のためのボランティア」は、実際にはどのようなもので、何を意味し、いかなる社会的機能を果たしているのか、そしてそれは当初意図された通りに機能しているのであろうか。これを明らかにすることが、本稿の課題となる。
■この問題を考えるにあたって、筆者自身の実践事例を主に用いる。筆者はこれまで、①「不登校の子どもたちの居場所づくり」(2001〜02年)、②「子ども・若者の居場所づくり」(2003年〜)としてフリースペースを開設し、生きづらさを抱える若年世代を支援するNPOを運営してきた。①では「ボランティア」を受け入れて支援を組織していたが、その結果生じたさまざまな問題ゆえに、その後の②では「ボランティア」を用いずに支援を組織している。両者のボランティア・マネジメントとその背景にある思考について比較検討していくことで、「同世代による同世代のためのボランティア」がはらむ問題について考察していきたい。