『高度経済成長は復活できる』

高度経済成長は復活できる (文春新書)

高度経済成長は復活できる (文春新書)

■読んだ本。79冊目。『高度経済成長は復活できる』。高度経済成長の終わりは石油危機にあるのではなく、「都市」が実現した経済成長の果実を経済効率の悪い「地方」に傾斜配分したことで、地方から都市への人口移動が激減し、それがもとで成長率の急激な低下をもたらしたことにあり、そうした「地方」優先の非効率な開発の流れをつくりだした張本人は、田中角栄であるという。自分がこれまで依拠してきた枠組みといたるところで不協和なのだが、著者の言うことももっともであるわけで、さてどのように収拾したものか。足場がぐらぐら揺れている、相対化の感覚。とはいえ、これはこれで面白い。せっかくだから、もう少しこの快楽に身をゆだねてみよう。