『カミュなんて知らない』

カミュなんて知らない [DVD]

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人を殺してみたかった―愛知県豊川市主婦殺人事件

人を殺してみたかった―愛知県豊川市主婦殺人事件


■観た映画。23本目。『カミュなんて知らない』。何年か前に愛知県で起きた高校生による不条理殺人。「人を殺してみたかった」というコピーで語られたあの事件を、大学生の映画サークルが劇中で映画化する、という物語。どこかで見た記憶がと思ったら、連合赤軍事件をネタにした『光の雨』と似た構成なわけで。作品化の過程で、登場人物らによって事件の「異常性」があれこれ解釈され、最終的には「誰にでも(=自分たちの身の上にも)起こりうること」的に日常に接続されて終了なのだが、そういうのを俳優の台詞とか動きとかで表現してしまっていて、全然説得的でない。映像/映画的な凄みや強度がない。最後、主婦殺害の場面を、劇中映画の撮影シーンなのか、それとも役に同一化してしまった俳優が実際に殺害に至ってしまったのか、曖昧にぼかす程度の演出はしてほしかった。