『教育社会の設計』/『大衆教育社会のゆくえ』 

教育社会の設計 (UP選書)

教育社会の設計 (UP選書)

 
■読了本。矢野真和『教育社会の設計』、苅谷剛彦『大衆教育社会のゆくえ』。久しぶりにまともに文献を読んだ。どちらも「教育」にまつわる事象を「教育的言語」でしか語ってこなかったことの弊害に自覚的な研究で、前者は「教育」を経済学の視点/語彙で、後者は社会学の視点/語彙で語り直す試み。ありふれていて自明であると思われるものであっても、眺めかたや語りかた、言葉のあてかたを変えるだけで、こんなにも見えかたが異なってくる、ということの好例。戦後の社会や経済と共犯関係にある教育のありようを「教育論」の語彙の内部に囲い込むことで、その具体相や実態を隠蔽してしまうしくみが、強力に作動してきたし、今もなおそうである。通俗的な「教育論」に浸されきった生ぬるいおのれの視点/語彙を、とにかく徹底的に疑い倒し、点検し尽くさんといかんなあと、改めて思った次第であります。