『シンセミア』／『モンタイユー』

最近の読了本。①小野善康『節約したって不況は終わらない。』、②アンリ・ウェベール『娘たちと話す　左翼ってなに？』、③香山リカ『就職がこわい』、④斉藤美奈子『物は言いよう』

節約したって不況は終わらない。―日本経済に答えはある

娘たちと話す左翼ってなに?

就職がこわい

物は言いよう

レビューしようと思ったのだけど、新しく読み始めた　阿部和重『シンセミア』が面白すぎて、正直どうでもよくなった。「東根市神町」が舞台の物語。著者の阿部自身が神町出身の若手で、これまでも『ＡＢＣ戦争』『インディヴィジュアル・プロジェクション』などで暗に舞台装置として「神町」が設定されてはいたのだけど、本作では伏字を一切用いず「神町」とそこにすむ住民たちの来歴やら権力抗争やらが淡々と描かれる。アナール学派第三世代の歴史家ル・ロワ・ラデュリが異端審問記録から１３世紀南フランスの小村の日常を再構築したミクロヒストリー『モンタイユー』を思い出してしまった。物語内の風景や固有名詞が既知であることに奇妙な戸惑いを覚える。置賜人が『スウィング・ガールズ』を観るようなもの？　全部読み終わったらレビューします。

シンセミア(上)

シンセミア(下)

モンタイユー: ピレネーの村 1294~1324 (上) (刀水歴史全書)

モンタイユー: ピレネーの村 1294~1324 (下) (刀水歴史全書)