『ファスト風土化する日本』

本日の読了本。三浦展ファスト風土化する日本 郊外化とその病理』(洋泉社新書y 2004)。郊外化/消費社会化がもっとも激しいのは、もはや都心の周辺ではなく、地方においてであるということ。地方都市の郊外化/消費社会化=「ファスト風土」化という現実。都心ではなく地方でこそ多発する凶悪犯罪は、そうした現実の徴候であると著者は言う。郊外化の指標ともいえるショッピングセンター(例えば、ジャスコ)は、空洞化しつつある地域(工場跡地など)に出店し、ヴァナキュラーな共同体を解体して、その空洞化をさらに推し進める。この論点の実証のためにさまざまなデータが引用されるのだが、家計消費の多さでは山形市が全国有数の地域なのだという統計データにびっくりした。夫婦の共働き率No.1というのもその一因なんだろうけど。最近流行らしい民俗学的な「東北」論だとか「山形」論には正直いってあまり興味を覚えないできたのだが、「郊外としての山形」という視点はとてもおもしろい。それは「植民地としての東北/山形」論と、どのように繋がる/繋がらないのか。

ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y)

ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y)