「ぷらっとほーむ」からのごあいさつ


みなさん、はじめまして。ぷらっとほーむ は、家庭・学校・職場などに自分の居場所を見出せずに生きづらさを抱えているような子ども・若者たちが、自らの意志において自由に集い、多様な生きかたやライフスタイルを模索しながら、安心して成長していけるような、子ども・若者たちによる、子ども・若者たちのための居場所づくりNPOとして、2003年4月に発足した非営利活動団体です。

「いろんな生きかた」とか「あなただけの人生」とか、一見するとリベラルな物言いは巷にあふれていますが、実際には「いい学校」に進学し「いい会社」に就社することが「いい人生」の必要条件であるというような「幻想」がベタに信じられ、規範化されているというのが、われわれの社会の現実です。確かにそれは、かつて年長世代にとっての現実ではあったのでしょう。しかし、現在の子ども・若者たちにとってはどうでしょうか?

もともとわたしたちの出発点は、「不登校等の子どもたちの自立支援」を目的としたフリースクール不登校児・生の居場所)運営の経験にあります。そこでは「不登校・ひきこもり」を、家庭や学校に居場所を見出せないがゆえの現象と位置づけ、彼(彼女)らに対する居場所提供を活動の中心にすえていました。しかし、活動を通じて見えてきたのは、居場所がないのは「不登校等の子どもたち」だけではないという現実。登校している子ども、就労している若者も、そこに居場所を見出せないでいるのです。

では、その「居場所」とは何か。それは、①ありのままの自分でいられる場、②自分にも関与できる余地のある場、というように言い換え可能です。つまり、家庭・学校・職場は、今や子ども・若者たちにとって、ありのままの自分でいられない上に、関与や改編の余地すらない、窮屈で退屈な、他と取りかえ可能な場所になってしまっているのです。不登校やひきこもり、いじめ、フリーター、自殺等、現代の子ども・若者たちに広汎に見られる現象群と、これは無関係ではありえません。

そこでわたしたちは、そうした居場所を求める子ども・若者たちが、本音の自分でいられ、しかも自分で試行錯誤しながら多様な生きかたを選び、歩んでいけるような社会環境を、子ども・若者の側から、子ども・若者の視点で創りあげていくためのNPO ぷらっとほーむ を設立しました。この名称は、①子ども・若者たちが気軽に「ぷらっと」立ち寄れる「ホーム home」、そして②訪れた子ども・若者たちがそこからそれぞれの自己実現に向けて多方向へと旅立っていけるような「プラットホーム platform」でありたいとの想いを込めて名付けました。

この ぷらっとほーむ が、子ども・若者たちにとっての貴重な居場所に育っていけるよう、文字通り試行錯誤しながら尽力していきたいと思います。是非とも、共にこの「かけがえのない自分たちの居場所」を創っていきましょう。皆さまのご理解、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。*1

*1:『ぷらっとほーむ通信』001号(2003年5月)