SORAを離れるにあたって

SORAの活動に関わり始めてから2年。不登校の経験者でも親の会の如き支援者でもなかった僕が「フリースペースSORA」という居場所づくりの活動に関わろうと思ったのは、きわめて個人的な動機、すなわち僕自身が当時何らかの居場所を欲していたためで、そういう人間をも受け容れてくれた仲間たちには本当に感謝している。当時の僕のような、「不登校」「ひきこもり」などのわかりやすいレッテルを有してはいないけれども居場所を欲している、といった子どもや若者たちが、実はたくさん存在しているのだと思う。残念ながらSORAは不登校支援が目的であるため、しばしば届くそうした人たちの求めに応じられない場面も多かった。僕自身が居場所に救われた一人であったから、このことは余計にきつく感じられた。フリースペース内部に過度の多様性=流動性を抱え込むことは、実は非常な困難を伴う。それは居心地の悪さにもつながり得るためだ。ではどうするか。単一のフリースペースが内部に多様性を抱え込めないのであれば、多様なフリースペースが複数存在する状況をつくるしかない。SORAとは異なるもうひとつのフリースペースを創ること。それが、悩み苦しんでいる子どもや若者たちのための選択肢を確保するために、僕たちが出した結論だ。これからはまた別の「居場所」を創っていくことになるが、目指すもの(若年のための多様な社会的選択肢の創出)はSORAの仲間たちと全くかわらない。最後に、今までご指導ご支援くださった全ての方々にお礼申し上げたいと思う。ありがとうございました。*1

*1:『SORA模様』2003年4月 第24号)