「若者支援」のその先へ。

■近ごろなぜか、自分たちの活動を顕彰される機会に恵まれている。先月は「山形県」より「輝けやまがた若者大賞」(若者地域活動に対して与えられる賞)をいただき、今月は「財団法人山新放送愛の事業団」より「愛の鳩賞」(地域福祉活動に対して与えられる賞)をいただいた。若者支援をミッションに活動を初めて約10年になるが、「若者に支援が必要?」とか「居場所って何?」とか「学校の外に学びの場など不要」とか言われていた活動当初を思うと隔世の感がある。
■活動を始めた当時は、「若者が社会的弱者である」という現在ではもはや常識と化している事実がいまだほとんど知られていなかった。「派遣切り」も「内定取り消し」もまだ発生しておらず、問題があるとしてもそれは一部の人びと――「不登校」「フリーター」「ひきこもり」など――の社会的不適応が原因で、自己責任とされ、若者全般に対して何らかの支援や活動が必要であるなどとは認識されていなかった。そんな時代に「ぷらっとほーむ」の活動は始まった。
■それが、今ではどうだろう。若者の貧困や孤立が公共的なテーマとなり、若者支援の活動にのりだす団体や個人も増え、それらへの肯定的な評価もまた定着しつつある。こんなふうに書くのは、先見の明を自慢したいからでも、褒めてもらいたいからでもない。こんなのは当然想定内である。想定できていなかったのは、むしろその先の事態である。あちこちに若者支援団体や若者地域活動が林立するようになった現在、私たちパイオニアの立ち位置はどこにあるべきか。
■これまでの10年で蓄積してきた若者支援のノウハウや関係資源を駆使して、これから新たに若者支援を始めようとしていたり開始して間もなかったりするような「後輩」たちの活動に資するという「中間支援」という役割は当然ある。加えて、私たちはその若者支援の活動をNPO・市民活動という形で組織化してきた。その意味では、若者のNPO・市民活動の「先輩」として「後輩」たちの支援にあたれるかもしれない。実はこれに近い取り組みはすでに始まっている。
■だが、ここで言いたいのはそうした「中間支援」ではない。では、それ以外に私たちにできることは何であるか。「ぷらほ」の売りは、支援する側が支援される側と同じリスク=弱さを抱えた「若者」である、つまり当事者性があるという点にある。その「若者」のボリュームゾーンであった団塊ジュニア、いわゆる「ロスジェネ」は次第に40代に突入しつつある。とすれば、必要なのは「中年支援」ということになる。フロンティアは「ロスジェネ支援」にあるのだ。*1

*1:『ぷらっとほーむ通信』104号(2011年12月)