2010年の収穫:書籍篇

■読んだ文献の総数は128冊。目標の200冊には72冊及ばず。昨年に比べ20冊減。欲張りすぎた。内容的には、若者入門ブックガイド事業関連のもの、若者支援に関する修士論文がらみのものが圧倒的に多い。加えて、「シネマカルチャーサロン」関連で映画の原作となった小説をおさえておく必要から、小説読書が例年になく多かった感じがする。来年は、150冊を目標にがんばろう。以下は、今年のベスト3冊。

芸工大のK先生とその院生たちとの合同読書会のテキスト。この読書会を通じて、エスノの何たるかに関する基本的なイメージを形づくることができたし、「カテゴリー化」という分析視点/方法を得ることができた。これがなければ、あのような学会報告は不可能だったし、(結局書けなかったけど)修士論文の構想もいまとは随分違ったものになっていただろう。そういう意味で、かなり旧い本ではあるけれど、個人的にはかなり貴重な出会いだった。
公共性 (思考のフロンティア)

公共性 (思考のフロンティア)

■こちらは、大学院の購読で使用したテキスト。社会学/社会理論のフレームでずっと考えてきた「居場所=混在空間」論だったが、同じ議論が政治学/政治理論の領域において「公共圏=多様性の空間」論として発達しているということ、しかもその出発点がアーレント全体主義批判――学部ゼミのテキストだった、つまり自分の歴史学の出発点であったもの――にあるということを、今更ではあるが知ることができた。アーレント、改めて読まなくては。
太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

■ずいぶん前にブックオフで手に入れて積んで置かれた文庫本。大阪行きにかこつけて読んだみたら、硬質ながらも軽妙な文体にすっかり惹き込まれてしまった。実際に間近で観た「太陽の塔」は、作中で表現されているとおり、とてもへんてこで、強烈だった。