はじまりの「NPO・市民活動入門ゼミ」

山形県の市民活動支援ファンド「やまがた社会貢献基金」の助成を受け、今年度もまた若年の学びの場づくりの事業を実施することになった。今回のテーマは、「NPO・市民活動」。複雑化した現代社会が抱えるさまざまな課題・問題に対し、私たち市民が主体となってその解決や解消を図ろうとする運動や活動、取り組みなどを総称して「NPO・市民活動」と呼ぶが、実際にどんな活動事例があるのか、それらに何が可能なのかは、それほどよくは知られていない。
■「ぷらほ」の活動もそのひとつなのだが、それにしても、「不登校・ひきこもり」「子ども・若者」など、同じジャンルの活動であればともかく、活動領域が異なってしまえば、とたんに視界不良になり、どんな取り組みがそこで展開されているのか、全く見えてこないというのが現状だ。特定の領域のみならず、「NPO・市民活動」全般についてもっとよく俯瞰できるようになりたい。そのための場をつくりたい。この度の学びの場づくり企画の、それが根本の思いである。
■このように、特定の活動領域に限らず、多様な領域にわたって、「NPO・市民活動」のさまざまな実践事例を学べるという点に本企画のユニークさがあるわけだが、ユニークなのはそれだけにとどまらない。今回の企画「NPO・市民活動入門ゼミ」(全部で20回開催)は、山形大学人文学部地域連携室と東北公益文科大学地域共創センターとの協働により、それぞれの大学の構内を会場に、学生と市民とが同じテーブルを囲んで学んでいく場として構想されている。
■先日、その初回の顔合わせ会が、山形(山形大学人文学部市民交流室「Agora」)と酒田(東北公益文科大学公益ホール小研修室)の両会場で行われた。はじめての試みゆえ、どのくらいの人びとに参加してもらえるのか、正直いって不安がなくもなかったのだが、山形で8名、酒田で5名の学生・市民の方がたにご参加いただいた。初回はまず、参加者それぞれの自己紹介と、関心領域の洗い出しが目的のワークショップを実施。本格的な学びのスタートは次回以降となる。
■ところで、このゼミのタイトルを「社会のつくりかた」とした。制度破綻の補完や尻拭いを押しつけられ、システムの下請けに堕しつつあるかに見える昨今の「NPO・市民活動」業界への問題提起という意味で、あえてそのような挑発的なタイトルにした。当然、ゼミにおいても、下請けNPOの事例は避け、システムに対抗しそれを変革していくようなオルタナティヴNPOの事例を優先的に取り上げたいと考えている。ぜひとも参加してほしい。*1

*1:『ぷらっとほーむ通信』075号(2009年7月)