そして、『ひめゆり』へ。

■この度、6月13日(土)から19日(金)にかけて、長編ドキュメンタリー映画ひめゆり』(監督:柴田昌平/日本/2007)のアンコール上映を開催することに決まった。会場は、昨年に引き続き山形フォーラム。今回は、同じく戦争をテーマとしたドキュメンタリー映画ミリキタニの猫』(監督:リンダ・ハッテンドーフ/アメリカ/2006)を自主上映する市民の会「嗚呼ミリキタニ団」との合同上映会として実施する。
■振り返ると、『ひめゆり自主上映会をやり遂げたのが昨年6月(6月21日〜27日、観客727名)。上映会のミッションは、若い世代に戦争について学ぶ機会を提供すること。上映会の準備を進める過程で、「学びの機会をつくる側にいるのであれば、自分たちこそがまずは学ばねばならない」という思いのもと、全5回にわたる自主学習会を開催。これが予想以上に好評で、上映会が成功裏に終了した後も、学びを継続しようということになった。
■ちょうどその頃、山形市の市民活動支援基金山形市市民活動支援補助金」が誕生。これに「戦争と平和について学ぶ若い世代の学びの場づくり」事業として応募し、市民投票を経て助成が決まった。かくして、9月より戦争をテーマとした参加型の学びの場「戦争ゼミ」が始まる。ゼミは19回にわたって開催され、合計50冊の文献紹介とそれにまつわる議論がなされた。翌年3月末には、それらをまとめたブックガイド集『戦争入門』(A5版/500部)を発行した。
■ゼミ開催と同じ頃、2009年1月には、山形市の若い世代の人びとが中心となった企画、ドキュメンタリー映画『嗚呼満蒙開拓団』(監督:羽田澄子/日本/2009)の自主上映会が開催される。「ぷらほ」スタッフの松井も実行委員として関与したこの企画は、『ひめゆり』上映会から触発された側面が多分にあるとのこと。先にあげた「嗚呼ミリキタニ団」とは、この『嗚呼満蒙開拓団』上映グループの後継として、3月に立ち上がった上映グループである。
■「戦争ゼミ」や『戦争入門』、『嗚呼満蒙開拓団』上映会、そしてこの度の『ひめゆり』『ミリキタニの猫』合同上映会。一年前に「ぷらほ」が蒔いた「一粒の種」が、季節の一巡を経て、山形という地域にて、さまざまな人びとに飛び火=感染しながらこれだけ多彩なかたちで花を咲かせつつある。そして、再び原点としての『ひめゆり』へ。戦争(とその避けかた)について私たちが折に触れて意識し思考できるようにするために、私たちの取り組みは続いていく。*1 

*1:『ぷらっとほーむ通信』073号(2009年5月)