新しい言葉たちのキロク。

■現在、私たちは、某公共放送の番組制作に協力して、団体の活動をほぼ一週間にわたり、被写体としてテレビカメラの前にさらけ出している。番組は、2月20日(金)夜に放送予定であり、内容は、「ぷらほ」スタッフ・松井愛のドキュメントだそうである。インタビューの求めに応じて、調子にのって話すうち(質問することはあっても、されることはあまりないので)、いろんな言葉が新たに生まれでた気がする。せっかくなので、ここに書きとどめておこうと思う。
■Q1.「ぷらほ」のミッションは何ですか?――孤立しがちな若い世代(不登校・ひきこもり・若年無業者・フリーター・ワーキングプアなど、さまざまなアイデンティティへと分断された人びとを包括するカテゴリー)が集い、繋がり合い、世間の同調圧力に対峙していくための力=言葉をそこで学び、体得していくことができるようなエンパワーメントの場を、社会のあちこちに植えつけていくこと。そうした場の一つとして、フリースペースを開設・運営すること。
■Q2.そうした場の主催者=スタッフであるための条件は?――構造的な孤立状態におかれ分断統治のもとで低開発を強いられているような人びとを、社会(の多様性)に再び繋ぎ直すことでエンパワーすることができるということ。具体的には、自分の属する文化圏とは異なる文化圏との接点や繋がりを幅広くもてているか、他者の存在への想像力が働くか、人びとを異文化へと誘い出し接続することができるか、そうした問いに「イエス」と答えられるということ。
■Q3.スタッフとして心がけていることは?――私たちスタッフは、それぞれが独自の文化圏を生きる他者であり、そこでのコミュニケーションは常に異文化コミュニケーションである。相互に他者であるため、双方の文化が重なり合う共通領域を積極的に構築していく意識や意思を持ち続けなければ、「ぷらほ」は容易に空中分解するだろう。それを避けるため、共通領域――「ぷらほ」のミッション――をそれぞれの側のロジックで翻訳し、更新し続けていく必要がある。
■Q4.あなたにとって松井愛とは?――「ぷらほ」的な価値観を外部に伝え、思いと論理をバランスよく用いて人びとを説得しそこに巻き込んでいくという市民活動的なコミュニケーションの、稀有な力量を備えた存在。得意技:接近戦。彼女が異文化との最前線で戦う際に必要な、武器・防具としての言葉(語彙や概念、語り口、物語)を開発・整備・更新することで、彼女の実力を倍増させるような後方支援を行うのが自分の果たすべき役割だと思っている。*1

*1:『ぷらっとほーむ通信』070号(2009年2月)