『私たち、日本共産党の味方です。』

私たち、日本共産党の味方です

私たち、日本共産党の味方です

■読了文献。167冊目。筆坂秀世×鈴木邦男『私たち、日本共産党の味方です。』。誰もが名前や存在は知っていながら、その実態について理解されているとはいいがたい日本共産党。そんな「日本共産党のリアルとこれから」について、破門された元・日本共産党幹部と新右翼一水会」顧問とが縦横に語りつくした対談集。右の鈴木も、左の筆坂も、それぞれが自陣営の辺境に自らの立ち位置を定める。それゆえか、その批判的なまなざしは、相手陣営よりはむしろ自陣営の中枢をこそより深くえぐる。本書の批判的考察も、そうした文脈でなされる。日本共産党にダメージを与えるためではなく、日本共産党をよりよく活かすためとしてである。そのように見ていくと、奇妙なことに、右翼であれ左翼であれ、そこで活動する人びとの思考や行動の様式それ自体はほとんど違わないということがわかってくる。共通するのは、「利己的な生に終始してよいのか」「社会をよりよくするために生きるべきではないか」という運動への参加動機だ。真の対立構図は、そうした社会の当事者としての意識をもつ少数派の人びとと、自分のことだけを考えて生きる多数派の生活保守の人びととの間にある。真の敵を前に左右共闘を。明言こそないが、そんなふうにも読める。