■読了文献。150冊目。
おかだえみこ『人形(パペット)アニメーションの魅力』。「人形(パペット)アニメーション」とは何か。一言で定義するとそれは、静止した人形をひとコマずつ撮影し、映写した作品をいう(ゆえに人形劇の実写映像とは異なる)。映写されて初めて、本来動いていない人形が生命を得て自力で動いているかのように見える、一緒のトリック映像である。本書は、アートアニメ評論で活躍してきた著者が「
人形アニメ」の魅力とその理解に必要な基礎知識(制作方法や歴史、代表的な作家・作品など)について、思い入れたっぷりに解説を施した「
人形アニメ入門」である。二〇世紀初頭のロシアで産声を上げた
人形アニメ。やがて起きる革命がその成長を妨げるものの、同じ共産圏の
チェコがその代替を果たし、戦後、
人形アニメの黄金時代が到来する。「
チェブラーシカ」「
ウォレスとグルミット」などはその後継という位置づけらしい。「アニメ」と聞くとつい「
セルアニメ」を想起しがちだが、それはアニメーションの世界のごく一部に過ぎない。もう一つの「アニメ文化」の魅力を知れば、きっとあなたもその虜となろう。