『斎藤教授の日本経済入門』

■読了文献。73冊目。斎藤精一郎『斎藤教授の日本経済入門』。土曜WSのためのお勉強として。5年くらい前の、小泉構造改革を支持する系の議論。デフレ不況の原因は、銀行の不良債権/企業の過剰債務ゆえのオーバーカンパニーにあり、それが日本経済全体の生産性低下をもたらしている。だからまずはこのオーバーカンパニーを解消するための不良債権の採取処理=企業の淘汰・整理・再編(ハードランディング)が必要で、そこで予想される「痛み」に手当てするための財源確保策として行財政改革(行政スリム化)を支持します、という筋立て。財政政策・金融政策・為替政策の無効性が繰り返し語られるが、自分としては、そうした発想の淵源がケインズだということ、それらが有効であるためには、戦後日本経済の「予件」(①冷戦構造、②キャッチアップ・モデル)が必要で、それが崩れたポスト冷戦期の現在では無効ですよ、というあたりが面白かった。これはこれでまあ一つの物語なのだろうけど、他の人たちが語る物語との関係とか、現在この物語がどう書き換えられているのかとか、そういうのがわからないのでどう読んでいいのかよくはわからない。引き続きお勉強ということで。