『人間にとって法とは何か』

人間にとって法とは何か (PHP新書)

人間にとって法とは何か (PHP新書)

■読了文献。61冊目。橋爪大三郎『人間にとって法とは何か』。近代法の歴史的前提としての宗教法についての記述が面白かった。「法=神との契約」のユダヤ教、「世俗法/教会法」のキリスト教、「法源=『クルアーン』」のイスラーム、「法=ダルマ(因果律)」の仏教、「徳治主義法治主義」の儒教。これらに対し、室町以降の日本は「空気の支配」が特徴的であるとのこと。律令制の解体と荘園の形成のくだりで、不輸不入特権をもつ貴族の荘園を「特殊法人」にたとえて説明しているところがよい。とすると、武士の台頭と幕府の誕生っていうのは、今風にいうと「特殊法人」が権益を拡大して「第二の予算」ならぬ「第二の政府」を創ってしまったような状況なわけね。