『「心」はあるのか』

■読了本。26冊目。橋爪大三郎『「心」はあるのか』。「言語ゲーム」の発想をもとに、「心」がいかにして社会的に構築されているかを平易に解いたもの。「心」は「心」そのものとしてあるのではなく、人びとの言語や行為の結果生み出される「効果」としてある。私たちは「愛」はあるから「他者に優しく接する」のではなく、「他者に優しく接する」という行為を整合的に説明するために、その行為の起源に「愛」なるものを想定する。「悲しい」から「涙を流す」のではなく、「涙を流す」という行為を他の人に説明可能なものにするために、行為の背後に「悲しい」を想定する。もとが公開講座の講義録だというだけあって、非常に読みやすい。