『東京から考える』

東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)

東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)

■読了本。19冊目。東浩紀・北田暁弘『東京から考える:格差・郊外・ナショナリズム』。上京のお供に。行きの新幹線で読む。「広告都市/広告郊外」(資本による都市構築:80年代)から「ストリート」(趣味による都市構築:90年代)へ、というのが、北田(渋谷)や森川(秋葉原)が描いた都市論の物語枠組だったわけだが、そこにさらに、ファスト風土化、セキュリティ化といった趨勢が加わることで、いったい何が生成しようとしているのか。結論としては、東京の風景は今後ますます総郊外化していき(都心内郊外)、ときおり職能や趣味の街が点在するくらいでしかなくなるだろう、というもの。「個性ある街」を擁護し得る根拠とは何かについて議論を重ねるくだりが非常に興味深かった。この部分は、郊外化する地方の「まちづくり」や「地域振興」の文脈においても該当する問題であるはず。「地方とポストモダン」というのはもっときちんと考えられるべき問題系だと改めて思った。