■読了本。16冊目。
三浦展編著『脱
ファスト風土宣言:商店街を救え!』。「
ファスト風土化」という空間の均質化を批判し、都市という均質ならざる空間を擁護する。その根拠は、他者性との遭遇可能性におかれる。異質な他者とのコミュニケーションが可能な場を「社会」という。その意味で、郊外は「社会」ではないが、都市は「社会」である。「社会」は人びとを成長させもするし、創造性もそこに胚胎する。だからこそ、「
ファスト風土化」を阻止し、商店街というコミュニケーション空間を再生させよう、というわけである。
地盤沈下の途上にある商店街や地域に梃入れするために「地域マネジメント」や「
マーケティング」などの発想・手法が採用され、それがもたらす発想・手法の画一化が
地盤沈下の速度をさらに速める、みたいな悪循環を予期させる諸論考。所詮われわれは、「脱コン
トロール」というコン
トロール手法を採用するしかない
再帰性の囚人に過ぎず、彼らの前提を安易に批判するのは困難なのだが、それでもどこか違和感が残る。「まちづくり」や「地域振興」を論じる際の、彼らのあの得意げな感じが、どうしても好きになれない。この違和感を、さてどのように
言語化していけばよいだろうか。