『日本の公益法人』

日本の公益法人―その正しい理解と望ましい制度改革

日本の公益法人―その正しい理解と望ましい制度改革

■読了本。73冊目。『日本の公益法人』。講義「公益法人研究」レポートのネタ本として。一口に「公益法人」といっても、26000法人(25%が中央官庁所管、75%が都道府県所管)もあるわけで、その内実は多様だし、ひどいのも中にはあるけど、多くは地道に頑張っている団体ですよ、とのこと。公益法人制度改革についての概要は、制度改革の結果、現行の公益法人制度の「主務官庁制」――主務官庁の許可さえあれば「公益法人」を設立でき、税制優遇や補助金を受けられるしくみ――が廃止され、登記のみで「一般財団法人」「一般社団法人」の法人格が取得できる。そのうえで、その団体事業に「公益性」が認められれば、「公益財団法人」「公益社団法人」として税制優遇措置が受けられるしくみが導入されるということ。問題は、「公益性」の認定を行う「第三者機関(公益認定等委員会)」の内実。あるいはその認定の際の「公益事業の基準」の内実。「官益法人」温存への抜け道はまだまだ残る。疑問なのは、「公益性」認定の用件がきわめて曖昧であること。これでは、解釈者の胸先三寸でどんな事業だって「公益性」をそこに読み込むことが可能。『ホージンのススメ』での事例のように、彼らはまさに「公益事業」で私腹を肥やしているのだから、「公益性の有無」で争うのは敗色が濃いのではないかと思う。