『公益法人』

公益法人―隠された官の聖域 (岩波新書)

公益法人―隠された官の聖域 (岩波新書)

■読んだ本。59冊目。『公益法人』。大学院の講義「公益法人研究」の指定テキスト。肥大化する「見えない政府」としての公益法人とそれを制度的に支えてきた主務官庁制の実態を明らかにしたもの。「小さい政府」を志向する本書の議論は、表層においてはネオリベっぽい感じだが、そこに通底する動機においてネオリベとは袂を分かつ。「ネオリベ批判」という形で既得権維持志向言説へと動員されてしまわぬよう、両者の差異をきちんと言語化する必要があると思った。本書がわずかに指摘するにとどまった「英国チャリティ委員会」の内実を、講義では詳細に展開してほしいと思う。