ただ一点を 黙視

■予備校高等予備科2コマ、家庭教師2件。空き時間は大学図書館で読書。風邪(らしきもの)はいつのまにか治っていた。年末年始(らしきもの)はいつのまにか過ぎ去っていた。渦巻く日々を抜け出してようやく気づいたのは、どうやら峠を越したらしいということ。心なしか、余裕めいたものさえ感じる。ということで、さっそく新年会のお誘いに応じることに。明後日の夜、Eさん宅にて。

■読んだ本。

教科書が教えられない政治学 現代史スペシャル (目からウロコの政治講義シリーズ)

教科書が教えられない政治学 現代史スペシャル (目からウロコの政治講義シリーズ)

4冊目。教材用に。こういう語り口で自分も何か記述してみたいなあ、とか思う。各項目ごとに参考文献表みたいなのがあればなおよし。5冊目。国内では「賊軍」扱いされ差別されると同時に、コメのモノカルチュアを強要された「国内植民地」でもあったような、裏日本/東北農村の暗黒に対する奥羽越系の怨念こそが、関東軍石原莞爾らを突き動かした原動力――「飢餓の力」――である、と著者は言う。奥羽越列藩同盟満州。そうした被差別民たちの怨念を忠誠心に変換させ、互いに競い合わせつつ動員するメカニズムが、近代天皇制である。というのがまあ本書の骨子なんだけど、興味深いのはむしろ、著者のいう「コラージュ・ノンフィクション」なる手法。「日本史」を世界史的視点で相対化し、その単線的なイメージをいたるところで断絶させ、断線させ、屈曲させる。歴史イメージの複雑化こそ、著者のねらいなのだろう。