『空中庭園』
- 作者: リトルモア編集部
- 出版社/メーカー: リトルモア
- 発売日: 2005/10
- メディア: 大型本
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■なんつーか、キャストがよかったです。マナ(鈴木杏)とか、ミーナ(ソニン)とか、原作読んだ感じでは、正直言って、イメージがまるで異なっていたわけですが、そのギャップが逆に面白く。何より、飯塚(永作博美)が、とてもとても穏やかに鬼気迫っていて、最高でありました。原作も映画も共に、「郊外・中流・核家族」のリアルとは何か、というのがテーマなのでありますが、「光」に象徴されるものとしての「郊外・中流・核家族」の陰画が、「ラブホテル」の「窓のない部屋」に形象化されているところが非常におもしろい。「ダンチ」も「ラブホテル」も、薄っぺらで平板で取り替え可能な「郊外」的風景の構成要素としては似たり寄ったりなモチーフである。ということはつまり、結局のところ、わたしたちはどう転んだところでこの「郊外」的な風景の外部へなど出ることはできない、できるのはせいぜい「ラブホテル」的なもので「ダンチ」的なものに刺激を与えることくらい。そんな「どこへもいけない」という身もふたもない現実をそのまま包み隠さず、その姿形のままで潔く差し出されている感じがあって、それがものすごく爽快。お蔵入りしなくてよかったね、とか言いたい。本当にありがとうございました。