『メゾン・ド・ヒミコ』

『メゾン・ド・ヒミコ』オフィシャル・ブック

『メゾン・ド・ヒミコ』オフィシャル・ブック

■「呼び出し」てくれた彼(女)には申し訳なかったのだが、「審判」のその日まではせめて心穏やかに過ごしたいと思い、ひとりの時間を享受することに。ごめんなさい。先日ある人が思い出させてくれた映画を観に、フォーラムへ。監督は、『ジョゼと虎と魚たち』の犬童一心。ゲイの老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」が舞台の物語。マイノリティのコミュニティ。これは、フリースペースの物語である。それとともに、家族の物語でもあると思った。ゲイ老人たちの日常――彼(女)らが差別を受ける場面も含め――の描写に「リアルっぽさ」がまるで感じられず、せっかくの設定を活かしきれていないのではないか。性愛でも恋愛でもない、それとは別の共同性や関係性を提示したいのであれば尚のことそうだ。それはそうと、オダギリジョーがすごい。『パッチギ』でも思ったのだが、あの意味不明な「深み」や「奥行き」を感じさせるたたずまいがすばらしいと思う。