『福祉NPO』

福祉NPO―地域を支える市民起業 (岩波新書)

福祉NPO―地域を支える市民起業 (岩波新書)

山大図書館にて読了。2001年の文献であるから、情報として旧いのはまあやむを得ないと思うのだが、それはさておくとしても、どうも全般的に記述が薄く、言葉が上滑りしているような感じがする。構造分析の欠如ゆえか。あるいは、福祉以外の領域におけるNPOの実態をこそ知りたいという読み手側の欲求のゆえか。とりあえず、この本から4年が経ち「NPO幻想」みたいなものもだんだん剥げ落ちつつある現在こそ、実態について調べたり語ったりするのに適した時機なんじゃないかと。
それはそうと、法制度の網の目によってとりあえずはカヴァーされている福祉系NPOと、法制度の外部に留めおかれた「フリースクール」など教育系NPOとでは、議論の前提がだいぶ違うよなあ、とか思う。もし似たような道筋を辿るのだとして、法の投網は、居場所をどう変えていくのだろうか。自分たちの領域のある種の「未来予想図」として、福祉系NPOの現状と課題についてみておく必要が、どうやらありそうだ。