『東京シューレ物語』/『フリースクールとはなにか』
奥地圭子『東京シューレ物語』を読了。日本における居場所の草分けである「東京シューレ」代表・奥地圭子による「東京シューレ」の自伝的物語。開設の1985年6月から、5年目の1990年12月までの居場所づくりの歴史=物語である。
- 作者: 奥地圭子
- 出版社/メーカー: 教育史料出版会
- 発売日: 1991/01/01
- メディア: ハードカバー
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- 作者: 東京シューレ
- 出版社/メーカー: 教育史料出版会
- 発売日: 2000/07/01
- メディア: 単行本
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「地方の居場所づくり」という立ち位置から見たときに、東京シューレにはある種の華々しさ、敷居の高さ、あるいはそれへの志向みたいなものを感知せざるを得ないのだが、もしそういう何かがシューレの側に存在するのだとすれば、それは上記のように「フリースクール」という意匠をまとうことを(シューレが)選択したがゆえの、副産物みたいなものなんじゃないかと思う。そしてそういう「自由、自治、個の尊重」の居場所=「フリースクール」という、敷居の相当に高いモデルがイメージとして流通してしまったがために、「地方の居場所」は――少なくとも、わたしたち自身と、わたしたちの知る幾つかの居場所は――その(東京シューレ発の)理想像と自らの現状認識との間の凄まじい分裂に悩まされ、そのズレの解消という問題に自らの思考を呪縛されがちになるという事態に陥ってしまっているのではないか、と思う。そしてさらに言うなら、それがわたしたち「地方の居場所」スタッフをじわじわと消耗させていく言説の檻として密かに機能し続けているのではないか。