第51次村山地区教育研究集会に参加して

10月17日(水)、山形四中を会場に第51次村山地区教育研究集会が開催された。今年度は、午前中それぞれの分科会に分かれて研究発表や討論が行われ、午後からは全体が集まって灰谷健次郎さんの講演会が開かれた。フリースペースSORAからは、<不登校問題を考える>分科会の研究報告者(レポーター)として滝口が、推進委員として我妻が参加した。
当日はあいにくの雨。しかしながら、<不登校問題を考える>分科会は、準備段階で予想していた以上の参加者を数え、この問題に対する先生方や保護者の方々の関心の高さがうかがわれた。この分科会で為された研究報告は、フリースペースSORAでの実践報告「子どもたちのいろんなSORA模様」と、天童三中における校内フリースペースの試みに関する実践報告。前者は、フリースペースSORAの基本理念、開設までの経緯、スタッフのあり方、そして実際の子どもたちの過ごし方などについての紹介を行った。質疑応答の場面では、子どもたちがどのようなきっかけでSORAに通ってくるようになったのか、運営はどのようなかたちで為されているのか、などの質問が出された。学校外での取り組みに対して、現場の先生方からの激励の言葉をいただいたことが印象的であった。
後者の天童三中の試みは、今後の学校内での不登校対策のモデルケースとも成りうる実践であり、質疑応答の際には、教員配置の問題等をも含めた具体的な実施条件についての質問が相次いだ。多様化する子どもたちの個性に見合ったさまざまな居場所を学校外で構築していくのがフリースペースの社会的意義であるとするなら、これは学校内を多様化することで子どもたちの居場所を確保していこうという逆方向からの試みである。目指されているのは、「学校の敷居を低くする」(=脱学校化)ということ。こうした動きが広がっていくことに期待したいと思う。
両報告に共通していたのは、不登校の子どもたちに対しては、ゆっくりと自分の時間を取り戻させてあげることや自分のペースで生活できる環境を創ってあげることが極めて重要だという認識である。この点をふまえて、その後小グループに分かれての討論が行われた。グループ毎にさまざまな実りある議論が行われたようで、滝口の属したグループでは「子どもが自ら動くのを待つこと」の難しさ等について多様な意見が交わされた。
解決策や処方箋が出るような集会ではなかったが、しかし、同じ問題に取り組む人たちの存在を知りその人たちと交流できたことで、大いに勇気付けられた。*1

*1:『SORA模様』2001年11月 第7号