『ネオリベ現代生活批判序説 増補』

ネオリベ現代生活批判序説

ネオリベ現代生活批判序説

■読了文献。140冊目。白石嘉治・大野英士編『ネオリベ現代生活批判序説 増補』。本書タイトルの「ネオリベ」とは、ネオリベラリズム新自由主義)の略称であり、経済の外部に広がる多様な領域(例えば、政治や恋愛、教育など)に市場の論理を貫徹させようという発想=政策を指す。「ネオリベ」との呼び捨てには、こうした思考やそれを受容する感性への侮蔑が込められている。ネオリベは人びとの生活のあらゆる領域にねらいを定めている。本書は、現代生活の四つの局面――「労働/消費」「心理/主体」「運動/政治」「大学/文化」――において、現在進行中のネオリベ化の諸相を、各領域の研究者との対話を通じて明らかにしていく。見えてきたのは、市場原理主義を内面化させられ、精神的にも物理的にも抵抗の拠点を奪われた人びとの姿だ。では、取り戻されるべきは何か。本書は、抵抗拠点回復のための闘争目標として、ベーシックインカム基本所得)と大学学費無償化を掲げる。市場への対抗論理が育まれ、誰もがそれを享受できる場としての大学(文学部)へ。脱ネオリベマニフェストがここにある。