『立ち直るための心理療法』

立ち直るための心理療法 (ちくま新書)

立ち直るための心理療法 (ちくま新書)

■読了文献。102冊目。矢幡洋『立ち直るための心理療法』。「余計なお世話」な感じのタイトルが気に食わないが、中身はかなり良質の「初心者のためのセラピー入門」。精神病と神経症のちがいとか精神科医とカウンセラーのちがいとかについて、かなり平易に整理してくれていてわかりやすい。いろいろ紹介してあるが、やはりポストモダンセラピーの発想がしっくりくる。一読して感じたのは、こころの病やセラピーといった領域に関してもある種の「消費者教育」が必要なのだなということ。最後の最後に収録されている「セルフヘルプ・ブック」――ワーク1:少しでも役に立ちそうなもののリストを作成してください/ワーク2:問題(症状)がないときはどのようにして過ごしていますか?/ワーク3:良くなるときは何からまずよくなり始めましたか?/ワーク4:問題や症状をそれ以上悪化させないようにどうやってくい止めているのですか?/ワーク5:あなたはどうやってそんな厳しい状況にここまで耐えてきたのですか?/ワーク6:あなたはなぜこの本をここまで読んだのですか?――がとても面白い。著者はセラピストを「言葉の専門家」と呼ぶが、まさにその通りだなと思う。