■読了文献。49冊目。
高橋祥友『生と死の振り子:
生命倫理とは何か』。自殺予防学の第一人者である
精神科医による
生命倫理エッセイ。
インフォームド・コンセント、カルテ開示、QOL、輸血拒否、臓器移植、
過労自殺、
自死遺族、
安楽死、減数手術、
代理母、ヒトゲノム、クローンなどが扱われているテーマ。予備校の「センター倫理」講義のための教材研究として読む。
自死遺族(自殺者1人につき最低5人に深刻な
心理的打撃があるという)への
心理的ケアの必要性を説く「自殺、そして遺された人びと」の章、自殺予防の現場的な視点から安易な
安楽死(とそれを正当化する「自己決定権」の思想)を批判する「
安楽死」の章がユニーク。あとはまあ普通。多胎妊娠や減数手術の話題は勉強になった。
生命倫理やそれを根拠にした法規制が叫ばれてはいるけれど、結局なし崩しにいろんなことが「当たり前」になっていくんじゃないの、という身も蓋もない結論。