『世間の目』

世間の目

世間の目

■読了本。11冊目。佐藤直樹『世間の目:なぜ渡る世間は「鬼ばかり」なのか』。「世間」の主要原理として著者があげるのが、①贈与・互酬の関係、②長幼の序の重視、③個人の不在、④呪術的性格。日本的な「世間」と比較考察されるのが西欧的な「社会」のみであるという問題点。昔なつかしの「日本文化論」の芳ばしい香りがあちこちに漂う。キリスト教や告解制度が「世間」的なものを駆逐し「社会」や「個人」を生み出したのだと言うのだが、ではそのキリスト教や告解制度が不在の諸地域(例えば儒教圏ヒンドゥー教圏やイスラム圏)においては、日本と同様「世間」の桎梏が存在し続けているのだろうか。もしそれが存在するのだとすれば、それは日本のものとどこまでが類似していてどこからが異なっているのか。存在しないのだとすれば、なぜそれが不在なのか。そういうことをこそ知りたい。特に、儒教圏の近隣地域と比較するとどうなのか、知りたい。