『物語としてのケア』

■読んだ本。82冊目。『物語としてのケア』。「ナラティヴ・アプローチ」の三つの方法(①外在化とオルタナティヴ・ストーリー、②無知のアプローチ、③リフレクティング・チーム)のそれぞれに関して、その意味や背景や含意を詳説してくれているのがありがたい。それらを「ナラティヴ・アプローチ」と一括する根拠は、三つの方法において、「専門家/専門知/支配的物語」などの権力作用を相対化するという逆説的な「専門性」が、共通して存在しているという点だと著者は言う。セルフヘルプ・グループやフェミニスト・セラピー、べてるの家などは、そうした「ナラティヴ・アプローチ」の具体実践の場=「ナラティヴ・コミュニティ」の事例群として位置づけられる。やはり気になるのはこのあたり。「ナラティヴ・アプローチ」と「権力」はどのように関連しているか。