『なぜ「話」は通じないのか』

なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論

なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論

仲正昌樹『なぜ「話」は通じないのか』読了。話が通じないバカの大量発生を、「大きな物語=歴史」失墜後における「小さな物語」のモノローグ的増殖というコンテクストにおいて読み解く。著者いわく、話が通じない人びと――相手の語彙に脊髄反射し、文脈無視でがなり立てる「パブロフの犬」――の増殖の背景にあるのは、人の話をまずはきちんと「聴く」という手続や習慣が衰退しているということ。
議論の前提を欠く(しかし動機づけはある)人たちとどう付き合っていくのか――関与しないか、啓蒙するか――というのは、市民活動/運動の日常における割とバカにできない課題でもあるわけで。まあ、人がどうこうというよりも、自分自身がまずはヘンな物語に動員されることのないよう、しっかり「物語読解力」(ナラティヴ・リテラシー?)を身につけなくちゃいかんなー。とか思う。