『格闘する者に○』

三浦しをん『格闘する者に○』を読了。

格闘する者に○ (新潮文庫)

格闘する者に○ (新潮文庫)

ときどき潜り込む母校の大学学食の壁に「就活」系のポスターが貼ってあって、自分の在学中には存在しなかったジャンルゆえに非常に興味をそそられるのだが、そうした大学生の「就活」のリアルらしきものが、ちょっとそこからズレた視点から描かれる。主人公たちと同じように、民間企業や行政機関への就社するという選択肢に違和感をおぼえていた自分だからそこそこ共感はできるし、著者の批評眼もなかなかに鋭いとは思うのだけど、それだけに、会社に「普通に」就職していく人たちへの怨念あるいは蔑視めいたものがストレートに出すぎているような気がして、ちょっと引いた。