「不登校親の会山形県ネットワーク 夏のつどい」に参加して

不登校親の会山形県ネットワーク」主催の「夏のつどい」が8月18、19日の二日間、赤湯温泉の「いきかえりの宿 滝波」にて開催された。今年で三回目となる「夏のつどい」、今回のテーマは「居場所」である。フリースペースSORAからも研修を兼ねてスタッフ数名が参加した。
1日目は、神奈川のフリースペース「たまりば」の主宰者である西野博之さんを迎えての講演会「不登校の子どもたちと共に生きて」。その講演をうけ、参加者が小グループに分かれての分科会が開かれた。2日目は、西野さんを司会に、県内各地の様々なフリースペースの関係者によるシンポジウムが開かれた。

不登校の子どもたちの居場所づくり」をもう10年以上も続けてきたという西野さんによれば、子どもたちが本当に欲しがっていたのは、自分たちのために何かしてくれる大人なのではなく、自分たちがありのままでいられるホッとできる居場所なのだ、という。「たまりば」の原点はそこにあるのだそうだ。
ホッとできる居場所を得た子どもたちは、自分でいろんなことをゆっくり考え、試行錯誤するなかで、やがて外に出て行くエネルギーを蓄えていく。最近は自尊感情に乏しい子どもたちが目立つため、このような「生きることへの動機付け」を取り戻すための居場所がとりわけ重要なのだ。
そのような居場所づくりのために、「たまりば」では次の点に留意しているという。①世間・社会の時間とは異なる、ゆったり流れる時間をつくる、②子どもたちが心の内にため込んでいる感情をきちんと受け止め聴いてあげる場や関係をつくる、という2点だ。故に、スタッフが何かを強要するようなことはないのである。

居場所のありかたも非常にさまざまである。2日目のシンポジウムでは、県内各地の居場所づくりの実践が紹介された。通所型フリースペースであるSORAの他、寄宿型の小国フォルケホイスコーレ、登校/不登校の線引きをしないYOU塾、移動型のあちこちフリースペースネコの会、紙面での居場所づくり『ホントのこと通信』などである。
ひとくちに「居場所」といっても、いろんなありかたがある。いや、むしろ多様な居場所が必要なのだ。居場所とは、速度を増していく現代社会のセーフティネットである。であるが故に、さまざまな居場所が互いに連携しあいながら活動していくことがより重要になってくるだろう。SORAもそのような居場所のひとつとして今後さらに活動を充実させていきたい。*1

*1:『SORA模様』2001年9月 第5号